研究テーマを設定することは、とても難しいのです。大学教員でさえ研究テーマの設定は難しく科研費の採択率は30%程度です。それを考えれば本当の意味で学術的に意味のある研究テーマを学生が設定するのは至難の業です。
学生がやりたいことを「いいね、いいね、そのテーマで」とやらせてくれる教員はどんな大学でもいます。しかし、この記事を見に来た人はそういった研究室を好まない人でしょう。
デザインにおける研究で重要なのは「・・を明らかにすること」です。「・・をデザインすること」ではありません。科研の審査員の経験から伝えておきたいのが、
・研究目的とは「・・を明らかにすることである」ということなのです。
研究目的は、ツールを作ることではありません。カッコいいデザインをすることでもありません。沢山売れるモノをつくることでもありません。研究目的を「・・を制作する(デザインする)ことである」「・・を提案することである」と書くのは、間違いです。
「研究」とは、何かを明らかにすることなのです。ロケットが無事に宇宙に行けて確実に帰還するために必要な「・・を明らかにする」ことと同じなのです。
研究は、学術的でなければなりません。
学術的とは、科学的あることです。
科学的であるとは、数値化できることです。
数値化できるとは、再現性があることです。
再現性があることとは、同じことが何回でもできることです。つまり、間違いなく同じ機能・カタチをしたものをユーザーの手元に届けることができるということになります。
研究テーマを考えるとは、目的に「・・を明らかにすること」と設定してみることです。特に明らかにすることが無いならそれは研究レベルに達していないテーマということになります。
大学の制作課題一つ一つについても、この目的に置き換えて考えてみることをお勧めします。間違いなくレベルの高い提案性のあるモノを生み出せるはずです。